ゾウの見た夢

残念ながら年には逆らえないおばちゃんの独り言

脱走事件

我が家の猫が脱走した。

 

何か静かだなあ、どこにいるのかなあと探してもおらず、その代わり一階の部屋の網戸が小さく開いていたのだ。

 

窓は確かに開けていた。

が、網戸は閉まっていたはず。なのに何故空いてる???と思うと同時にそこから愛猫が外に出たと理解するまでに時間はかからず、静かな焦りが湧き出てきた。

 

我が家の猫は元野良猫だった。

でも飼い始めて4年位経つし、すっかり家猫になったような感じがしていただけに裏切られた感じが出てきて(猫は全くそんな気はないんだけど)、ちょっとした怒りと、どうしようという焦りと、ああ、いなくなってしまったという悲しみが入り混じった感情に押しつぶされたようになる。

高確率で戻ってくる事は分かってはいたけれど、それよりも外は暗いし、もし、万が一事故に遭ったらどうしよう、という考えが頭を占めていく。

動揺を隠せず泣いている娘と一緒に家の周辺をくまなく探すも見つからない。

 

ひとまず出て行った窓の側で待っていよう、という事になり待ってみる。

 

出て行った約二時間後、「よっ!」という顔で愛猫が戻ってきた。

おいおいなんだよそれ、こっちは散々心配してたのに何食わぬ顔で戻ってきやがって、と思いながら、すごく嬉しくて安心して、戻ってきてくれてありがとうと思う。

 

猫も(多分)悪い事したって思ったのか、目を合わせず、時々上目遣いで我々の様子を見ていたのが笑える。部屋の隅の方で「怒らないでよー、だって楽しかったんだから!」って感じでじっとうずくまっている姿を見ると、ただただ撫でるしかできなくなってしまう。

 

猫の可愛さはもう、ずるいとしか言いようがない。

愛猫はどの道を歩いていたんだろう。どんな景色をみていたんだろう。

私達が一生懸命探しても全然いなくて、我々が見ている道と猫の道はまた次元が違うんじゃないかと思う位いなくて、不思議な気持ちになった。

 

猫の道。

人には見えない猫の道。

あったりして。