我が家で飼っている猫はサビ柄だ。
初めてサビ柄の猫を見たのは近所の野良猫。
3兄弟らしく、1匹は白猫、1匹はキジトラ、そしてその中の1匹がサビ柄だった。
そのサビ柄猫を見た時、本当に申し訳ないけれど汚い柄の猫もいるものだと思った。
その決して綺麗とは思えなかった印象の猫が我が家に来るなんて、あの時そう思ったのは何かの予兆だったのかもしれない。
近くのお寺にいたサビ柄の野良猫は娘になぜか良くなつき、猫を飼った経験のない主人と私はウロウロと迷ったけれど、思い切って飼う事を決断した。
我が家にやってきたサビ柄猫は「くり」と名付けられ、野良猫だっただけにゴミ箱を漁ったりトイレの場所が固定するまで色々あったが、ある程度安定すると元々持っていた性格が出始めた。
その性格の良さに私達家族は日に日にメロメロになっていき、今では多分「バカ」がつく程じゃないかと思う。
飼ってみて初めて分かったのだが、サビ柄猫は、近くで見れば見るほど芸術的に美しい猫で、あの時感じた「決して綺麗ではない」と思った事をひどく後悔するまでになった。
まあ、親バカもあるとは思うのだけど。
自慢じゃないが鼻の所なんて「花まめ」みたいな柄で、毛なんてよく見れば見るほど綺麗で、特に首回りは「木星」のような柄なのだ。
宇宙を携えている猫なんて素敵じゃないか。
そんな我が家の猫は自動給餌機によって決まった時間に食事を摂っている。
最初は時間になったらご飯をあげていたのだが、朝4時になると「ごはんー!」と起こしにくる事と、夕方出かけたときに予定通りに帰れない事があったので自動給餌機にしたのだが、導入する事によってぐっと楽になった。
ご飯は給餌機が出してくれるのに、未だにご飯前になると「ごはんー!ごはんー!」と訴えてくるのが不思議だなーと思いつつ可愛らしい。
猫のいる生活はこんなにも嬉しくて愛おしいものなのか、と思いながら、家の床や壁につく傷が増える事に日々ショックが薄れていく事が不思議に思う。
いつの間にか傷もまた愛おしく感じるようになるのだ。
猫の魔力はもうほどけない(笑)。