ゾウの見た夢

残念ながら年には逆らえないおばちゃんの独り言

風になりたい

我が家の猫はピアノの音が好きだ。

それもどちらかと言えばゆったりとした音。

小さな子供のように鳴き続ける時、ピアノの曲をかけると静かになって落ち着く。

人間の私にとっても心地よい音はどうやら愛猫にも心地よいらしい。

 

音は不思議だと思う事がよくある。

例えば同じ楽器を弾いても人によって出てくる音は全く違い、それは上手いとか下手とかそういうよりも、もっと深い部分の違いなんだろうなあと昔から思う。

自分自身の心に描いた音、というか心の持ちよう、というか、その人なりの音が出て

そしてそれは誤魔化しようが無いようにも思う。

 

だから心地よい音楽を届けてくれる人に、私は心の奥底から感謝する。

そして憧れを持つのだ。

 

自然の奏でる音がどこまでも心地よいのは、きっと人もまたその一部だからなのだろう。

自然の音に意識を向けたとき、私はとても幸せを感じる。

風に乗って葉を揺らす音を聞いた時、私はその中に溶け込みたくなる。

願わくばその風と共に木々の葉を揺らしたくなるのだ。

そしてかつて私は風と共に揺らしていた事があった、と気がつく瞬間がある。

何故だか分からないけど、そう思う瞬間がある。

早くその風になりたいけれど、それができるのは私がやるべきことをやって、この寿命が尽きてから、という事も分かっている。

 

この身体が重くて窮屈に感じるのは、私の心が窮屈に感じているからなのだろうか。

風になりたい、そんな歌があったな。