側にいるだけでも、姿が見えるだけでも安心する人の存在は貴重だ。
仕事柄老人施設にいくのだが、色んな方がいる。
今日行った場所は皆フレンドリーに接してくれ、私もその方達に会うのを楽しみにしている。その中でも色々料理の事などを教えてくれるキミヨさん(仮名)。
今日は会うなり
「昨日とっても悲しい事があったの」
という。
聞くと仲の良かったサダコ(仮名)さんが、他の施設に移動してしまったのだそうだ。
サダコさんは皆に愛される愛嬌溢れる106歳のおばあちゃんなのだが、キミヨさんとサダコさんはリビングでも一緒にいる事が多く、確かに仲が良かった。
とは言え、実際はお互い耳が遠く会話もままならない。
だけど一緒にいる事が心地よかったのだろう。特に年下の(といっても96歳)キミヨさんはサダコさんの事をとても気にかけて、勝手に車椅子を動かしてトイレに行こうとするサダコさんを必死に止め、職員さんを呼んだりもしていた。
(てか、106歳で自力で車椅子を動かせる事自体がすごい)
サダコさんは106歳だけど、しっかり残さずご飯を食べるの!と私に嬉しそうに教えてくれたこともある。
「サダコさんと別れる時、お互い泣いたの。別れって本当に辛い」
そいう言ってキミヨさんはうなだれてしまった。
実際にはサダコさんが移った施設はお隣の施設なのだが、自由に外に出られず会いにいけないのは何とももどかしい。
側にいるだけで安心できる存在の人。
キミヨさんは暫く寂しいだろうなあ。