ゾウの見た夢

残念ながら年には逆らえないおばちゃんの独り言

人生話

色んな生き方がある。

 

結婚して子供を授かり家庭を作る生き方

結婚して夫婦だけの家庭を作る生き方

独身の生き方

 

大きく3つに分けただけだが、そこから更に分化する。

色んな人生があって、誰一人同じ人生などない。これだけ多くの人がいるんだから、全く同じ人生があっても良いんじゃないかと思うが、無い。

 

訪問歯科の仕事をしていると、自ずとその方の人生話になることも多い。

「私の時なんて戦争だったから。学校なんて形だけだった。ずっと働いてたから勉強なんて出来なかったし、勉強したのは大人になってから。何も知らなくて働くにも困ったからね。一番損な時代だよ。

家族は母息子だけだからね、子育ても私一人だったから働かなくちゃいけなくて。子供の学芸会なんて行きたくても行けなくて辛かった。でも辛いのは親だけじゃなくてね、子供も同じように辛いんだよね。

ああ、90(歳)過ぎるとと身体が動かなくて嫌になっちゃう。80まではまだ動いたんだけどねえ。早くお迎えが来ないかなって思う。

私の夫は30歳の時に亡くなったの。本当はね、早く会いたいんだけど。一体いつなのかねえ」

そんな話しをしながら、ハハハと笑う。

 

またある人は

「私ね、昔は夜の仕事していたんだけど、あの時は稼いだわー!あの頃は350人の従業員がいたの。その中で私はナンバー1か2。体調崩した時は3番になる事もあったけど。でも大抵1番。あの頃は景気が良かったからね。

接待しなくちゃいけないけどお酒に弱い人もいるじゃない?見ていれば分かるの。そんな時はね、その人がトイレに行った隙にウーロン茶に変えてあげたりもした。色んな人がいたね、とにかく。そうそう、お相撲さんが来たこともあった!でも大きくてなんだか怖いってあの頃は思った。

でもさ、(今)私独身だし子供もいないから、周りと話しが合わないんだよね。寂しいんだ」

そんな事をツラツラと話してくれ、歌うのが好きで美空ひばりの曲は良いよね、なんて話もしてくれる。

 

他にも色んな国に行った人、霊感が強めな人、早くに両親が無くなった人、自分の子供が亡くなった人、銀行で働いていた人、親戚の間をとり持っていた人…。

色んな人生があって、精いっぱい生きて今があって。

「今はもう動けない」という言葉を言うけれど、動けた時代、きっと沢山の人を助け、お世話をし、家族を守り、社会の中の1人として貢献してきたんだと思う。

 

彼、彼女らの話を聞いていると、人生って多様だなと改めて思う。

そして世間でいう「幸せ」の価値観ってなんだろうと思う。今は昔ほどその価値観は薄れてきてはいるけれど、その人にとっての「幸せ」の重心となる部分は当たり前だけど人それぞれ。

だから強要なんてしちゃいけない。自分の人生の価値が他の人の価値になるとは限らない。むしろ逆になる事の方が多いんじゃないだろうか。

 

この宝物のような人生話が聞けることもまた、この仕事の良さでもあると私は思う。