今年植えたバジルの鉢にキノコが生えていた。
雨が多くて湿気が高かったせいだろう。
生やしておくのもなあ、と思って取り除いた次の日、
同じ鉢に新しくキノコが生えていた。
キノコってこんなに早く生えるものなんだ、と妙に感心しながら思わず見入ってしまい、今回はこのままにしておこうと放置していたら、ほどなくしてキノコは無くなった。
キノコの生態の神秘に触れた気分だ。
ここ数年、夏になるとバジルとトマトときゅうりをプランターで植えている。
もっぱらお世話は主人と娘。
私は植物や自然がとても好きで、そこから発せられる心地の良いものを
こよなく愛して止まないのだけれど、育てる事にはもっぱら興味がない。
悲しい程に興味がない。
これでも昔、私はハーブやアロマの仕事をしていた。
植物から発せられる成分に夢中になりかなり勉強もした。
目には見えない香りの中に人に心を安心させたり
免疫を強化するような働きがあったり、血液の流れを活発にするような
働きがあったり、そんな魔法のようで、でも科学的に裏付けされている
私にとって「摩訶不思議」な植物の働きに本当に夢中になった。
が、悲しいかな、私はハーブを育てる事が苦手で、そしてそれを気にしつつも克服しようとも強く思わなかった。
性格上、興味のない事には悲しい程手を付けられない。
けれど人っていうのは「ハーブやアロマが好き=じゃあ育ててるんですよね!」
という方程式のような期待を抱く人が多く、正直そこは苦痛だったけど、実際私に教えてくれた先生達は育てるのも上手かったし、やっぱり好きなものは育てたくなるのか、大なり小なり育てている人も多かったように思う。
そんな育てる事も好きなセラピストにやはり憧れる時期もあり、
植えては枯らしを繰り返し、本を買うもページをめくる事なく
放置され、あるときふと諦めがついた、という流れ。
ただ、道端で見つけた雑草と化したミントの葉を触った瞬間や
エッセンシャルオイルの瓶を開けて香りが鼻にスッと入った時、
脳内が一瞬切り替わるその瞬間は今でも好きだ。
今はハーブやアロマの仕事とは離れているけれど、庭の草むしりをしながら名前の知らない草を抜いた時にふと香りがあったりすると、「ああ、この植物にも何等かの働きがあるのだろうな」とふと思い、それが何なのか知りたくなる瞬間がある。
ドクダミやスギナは一見雑草のようだけど、ハーブ的見解からするとそれはそれは立派な効能があって、世の中「見方」次第だよな、などと思ってしまうのだ。
ゴミと思うか薬と思うか。
それは私がハーブやアロマを勉強した中で得た、一番大きな事なのかもしれない。